12年目の恋物語


先輩の表情が、一瞬、なくなり、それから、いきなり爆笑した。



「あはははは!!」



え?

違うの?



どこのツボに入ったのか、先輩の爆笑はなかなか収まらない。



「……先輩、ちょっと笑いすぎです」



「はははっ、……いや、でも、」



「わたしの質問、そんな笑えましたか?」



真顔で聞くと、先輩はようやく笑うのをやめてくれた。



「いや。悪いね。……光栄だよ」

「……光栄、ですか」

「そうだね。そんな風に思ってもらえて、嬉しいよ」

「喜んでいるようには、ぜんぜん見えないんですけど」

「そう?」



先輩は、また面白そうに笑った。



「質問の答え、まだもらってません」



そう言うと、先輩もようやく真顔になった。





「ボクじゃ、ないよ」