12年目の恋物語


「それを、もし、ボクが知っているとして、

教えたら、なにかいいことがあるのかな?」



言葉だけ聞いたら、とても打算的な、イヤな言葉。

でも、なぜか打算的には聞こえなかった。

きっと、羽鳥先輩は、ただ普通に疑問に思っているのだと感じた。



「陽菜が、元気になる……かも知れない、です」



思っていた答えと違うのか、先輩は目を見開いた。



「なるほど」



先輩の目が少し穏やかになって、そうして、からかうような、どこかバカにした空気がなくなった。



「陽菜、この週末も寝込んでたみたいで、最近、お弁当も、ほとんど食べてないし」



先輩の表情が陰る。



「ずいぶん、痩せたよね」

「はい。……わたし、心配で」

「ボクも心配していたよ」



その言葉に、ウソはなかった。

確かに、お昼休みは短い。

だから、聞いてみることにした。



「羽鳥先輩!!」



「なに?」



「陽菜の相手が、羽鳥先輩って、本当ですか!?」