「それを、もし、ボクが知っているとして、
教えたら、なにかいいことがあるのかな?」
言葉だけ聞いたら、とても打算的な、イヤな言葉。
でも、なぜか打算的には聞こえなかった。
きっと、羽鳥先輩は、ただ普通に疑問に思っているのだと感じた。
「陽菜が、元気になる……かも知れない、です」
思っていた答えと違うのか、先輩は目を見開いた。
「なるほど」
先輩の目が少し穏やかになって、そうして、からかうような、どこかバカにした空気がなくなった。
「陽菜、この週末も寝込んでたみたいで、最近、お弁当も、ほとんど食べてないし」
先輩の表情が陰る。
「ずいぶん、痩せたよね」
「はい。……わたし、心配で」
「ボクも心配していたよ」
その言葉に、ウソはなかった。
確かに、お昼休みは短い。
だから、聞いてみることにした。
「羽鳥先輩!!」
「なに?」
「陽菜の相手が、羽鳥先輩って、本当ですか!?」



