「茅沙、帰ろ。」

「茅沙、飯行こう。」

「茅沙、ゴミついてる。」



最近の私の前には、うるさいやつが一人いる。



「茅沙、俺のこと好き?」


それがこの空気を読まない場違いな男、紅山凛也だ。


所構わず茅沙にべとべとひっつき、挙げ句の果てには見せつけるかのような視線を私に向ける。
せっかくの茅沙との2人のお昼休みも、こいつが来ては茅沙を攫っていく。


そのおかげでほぼ毎日茅沙は申し訳なさそうに私に目配せをしてくるのだ。
そんな申し訳なさそうな茅沙を見るのも今日まで。

私には使命があるのだ。


『茅沙に近づく害虫の駆除』


それこそ私がやるべきことである。



ついこの間は、あんなに悩んでる茅沙を見て、茅沙のためと思って背中を押した。
でも、茅沙だってもっとやりたいことがあるはずなんだ。

私は茅沙の自由を取り戻すべく立ち上がった。






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