「おはよう茅沙。」

「…っ、おはよう、凛也くん。」



話しかけてきた俺に驚いたらしい茅沙はあからさまに挙動不審だ。
少し寝癖のついた髪をふるふるさせている。

その寝癖を直してあげようと手を頭に乗せると、ぎゅっと目を瞑られた。



「寝癖、ついてるよ。」


そう笑って、その場を去る。
ちゃんと笑えていただろうか?

あんな顔して目を瞑られたら、ほんとに何も出来やしないじゃないか。



もう茅沙を怖がらせたくない。





そうして俺は茅沙に近づくことをやめた。






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