「……茅沙?」


黙り込んだ私を怪訝そうに覗き込んでくる。
そして私は意を決すると、口を開いた。



「ねぇ凛也くん。幼馴染に戻らない?」



凛也くんは予期していなかったらしく、とたんに眉間にしわをよせる。
私に対してこんな顔をした凛也くんは初めてで戸惑いつつも、話を続けた。


「凛也くんは、どうしてキスマークが恋人になる交渉だなんて嘘ついたの?…恋人って、お互いが好きで、気持ちが思いあって、だからこそなるもなんでしょう?」



「……誰からそれを聞いたんだい?」



「誰だっていいじゃん。それよりも、否定しないってことはわかってて私に嘘ついたんだね…。私の気持ちもちゃんと考えてほしかった!」



自然と涙があふれてくる。
凛也くんは私の頬を伝う涙を拭おうと手を伸ばしてきたけれど、ためらい、そのまま腕をおろした。







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