『喜多先生、喜多先生、至急職員室までお越しください!』 校内放送で 楽しい2人きりのひとときが奪われた。 「10分経っても戻って来なかったら、もう帰りなさい!」 喜多先生は、緩めたネクタイを締めなおし、職員室へ向かった。 はぁ… 行っちゃった。 喜多先生のいない生徒指導室は ただの部屋。 先生のいる場所はどこでも なんだかドキドキする。 だから、ここが好き。 私は勉強の手を止めて、辺りを見渡した。 いつも目に入っていた本棚の卒業アルバムに手を伸ばした。