「地上では、お前達の美しさがアダとなるやもしれぬ。赤子ならば、怪しまれず、警戒心もなく人間の内に入り込めよう」

 二人は不安な表情で顔を見合わせた。

「その『月光石』は、そなた等を護る守護石。何かあらば、その石が護ってくれようぞ」

 大婆が石に手を翳すと、石は姫達の体の中へと吸い込まれるように入り込んだ。

「十六夜、その月花の簪を大事にして。わたくしはそれを目印に、あなたを探し出し、宝物が見つかるまで護り抜きましょう」

 十六夜は輝夜の胸のうちで涙を流した。

「わたくしもお姉様を見つけて、お姉様を護ります!」

 武術的なものを何一つ得ていない妹の、姉に対する思いが健気さを生み、輝夜は苦笑しながら頭を撫でた。

「大婆様。準備をお願いします。わたくし達は、地上へ降り立ちます」

 輝夜が言うと、大婆は卵形の白い球体を召し使いに用意させた。