「今は昔、竹取の翁といふものありけり…」

 残暑残る午後の古文の授業。

 空腹を満たされた生徒達は、本を盾代わりに昼寝をしていたり、携帯片手にメールしていたり、きちんと授業受けていたりとさまざまだ。

 かくいうこの女生徒も例外ではない。先生の音読を聞きながら大欠伸をしているのだから。


(くあ~。眠。しっかし昔の人はメルヘンだね~。竹から産まれて月に帰るだなんてさ~)

 ペラペラと教科書をめくると、ふと視界に入ってきたのは月へと帰るかぐや姫の絵。

(でも薄情なもんよね~。今まで世話してきてもらっときながら、何事もなかったみたいに月帰っちゃってさ~)

 そんなことを思いながら、とうとう睡魔に負けてしまった。