けれどやっぱり、寂しい…気持ちもある。



2年付き合っていて、初キスすらまだなのだ。



私に魅力が無いのかなとか、私を好きじゃないのかなとか、色々考えてしまう。




こうして彼の一人暮らしの家に居るのも、私がお願いしたから。



『今日家に行ってもいい?』



彼はにこやかに笑う訳でも、かと言って怒る訳でも無く、



『いいよ』



と淡々と答える。




いつしか、それが当たり前になっていた。


私が彼の家に行って、朝まで過ごす。そして自分の家へ戻り、大学に行く。


もちろん、甘い夜を過ごすことは無い。彼はリビングのソファー、私は彼の部屋のベッドで寝るのだから。



3日に一回ほどのペースで、私は彼の家に来ている。


本当は毎日でも来たい所だが、あまり来すぎて嫌われたら元も子もない。



近すぎず、遠すぎず。


机に向かう彼と部屋の隅に立つ私が、ちょうどいい距離感なのだ。