彼の部屋は、入って右手の奥に机があって、その左にベッドがある。
いつ来ても整頓されていて、本棚には変わらず難しい本が並んでいる。
今日もまた、彼は机で勉強中だ。
「…コーヒー、ここ置いとくね」
ベッド脇の小さなテーブル。その上にコーヒーを置く。
テーブルは蛍光灯の眩い光が反射して、対称的なコーヒーの黒が映える。
彼とは、付き合って2年になる。
大学に入ったと同時に一目惚れして、私の告白で始まったお付き合い。
彼は将来医者を目指していて、日々勉学に励んでいる。
そのためデートというデートはしたこと無いし、甘い言葉を言われたことも、甘い時間を過ごしたことも無い。
忙しくて、私の相手をしている時間が無いのは分かってる。
夢に真っ直ぐな彼も好きだから、ずっと傍で応援したいと思うし、何より2年も一緒に居てくれたことに感謝しているから。