『アイラ、アイラ。』 黒猫ライアがアイラを呼ぶ。 「なぁに?ライア。」 白猫アイラがライアに問う。 『あれが食べたい。』 ライアの言葉にアイラはひとつ溜め息を吐くと、魚屋さんにあるトロに狙いを定めた。 「コラ!泥棒猫め!」 白猫アイラは魚屋さんに首根っこを掴まれてしまった。 にゃぁん、と黒猫ライアが鳴く。 白猫アイラは、そんなライアをじっと見ていた。 『食べさせてくれないの?』 ライアが訊くと、アイラは困ったように微笑んだ。 「また、今度ね。」