私たちは高級ブランドショップが
立ち並ぶ通りに来ていた。


私には全く縁のないショップが
ずらずらっと並んでいた。


師匠は慣れた様子で
片っ端から店に入ると
迷うことなくセレクトしていく。


洋服、靴、バッグ、アクセサリー…


そして最後のショップで私は
やはり師匠の選んだ
上品なデザインの淡いピンクの
ワンピースを試着させられていた。


「ど、どうですか?
ちょっと、露出高くないですか?」


と、師匠に聞く。


師匠はサングラスを
少し下にずらすと


「ふぅーん
まっ、いいんじゃね?
それにしろ。そのまま、着ていけ」


「ええ?
む、無理ですよ
こんなの着たことないですし…」


と、哀願するも


「師匠の言うことはぁ?」


「絶対です…。」


力なく答え
結局、そのまま着ていく事になった。


そして次に連れてこられたのは美容室。


師匠が何やら
テキパキとスタイリストに指示を出す。


髪を整えられ綺麗にネイルと
メイクもしてもらうと
鏡に映る私はもはや別人だった。


なんだか、自分じゃないみたいな
気がして俯いていると


「悪くねぇじゃん。」


と、師匠が鏡越しに言った。


鏡越しに師匠と合った目線が
妙に恥ずかしくて
また、俯いてしまった。