笑う門にはオレ様がきた!!

「あーダメダメダメェ~~
笑いすぎて、マスカラが滲む
ひぃーおかしいぃ。」


目の前で坂井さんがハンカチで
目元を必死に押さえている。


「笑いすぎですよ、坂井さん。」


焼きサバ定食をバクバクと
頬張りながら私が言う。


こうなりゃ、やけ食いだ。


「ごめんねぇ
だってぇ、師匠と弟子って…
クックックッ…
確かに、和さん落語とか好きだしなぁ。」


「落語?ですかぁ…。」


私が力なく答えるも妙に納得。


「でも、すごい事だよ。
和さんて基本、社員に対しても
とてもフレンドリーなんだけど
どこか一線引いてるっていうか…
他人を寄せ付けない空気っていうのかなぁ。」


「寄せ付けない空気?」


「そう、うまく言えないけど
何となくあるのよね。
だから、技術的なアドバイスとかも
人にした事ないし仕事に関しては
どちらかと言えば……そうねぇ
一匹狼みたいなところあるのよね。」


「一匹狼ですか…」


「そっ、でも、住吉さんの実力を
買ってくれたって事なんだし
あなた、自信もちなさいよ。」


そう言うと
坂井さんはお味噌汁を飲み干した。