ってオレ、何で叶抱きしめてんだよぉー!!

叶、フリーズしてるじゃん

これじゃ何とかするどころか、もうめちゃくちゃじゃねぇかよ

くそっ、小説のようにはいかねぇな

どうすりゃいいんだよと思いながらも叶を抱きしめる

叶を抱きしめているうちに漸く冷静になり

オレの気持ちが落ち着いてきた

何でだろ

叶を抱きしめていると心が落ち着く

「叶…」

オレの腕の中の叶が見上げる

「意地悪な事言って悪かったな」

いつもの自分を取り戻したオレは

素直に詫びるとオレの腕から叶を解放した

「しょ、小説のネタ…ですよね?」

困り顔の叶がオレに聞く

「あぁ、お陰で良いのが書けそうだ」

そう答えた時、少し胸が痛んだ気がした

オレは書斎には戻らず煙草を吸いに二階へと上がった