「颯く……」 呼び止めようとした颯くんの背中。 颯くんが女の子の頭をクシャッと撫でた。 「っ…」 どう、しよう…。 声が出なくて、溢れる涙をこらえるのに必死だった。 そうだよ、忘れてた。 あたしはゆっくりの恋がしたいんじゃん。 そのためには颯くんは、初めから釣り合ってないんだよ。 だからお願い、気付かないで… 振り向かないで… だけどなんて神様は残酷なんだろう? 「桜華?」