キミの前に夕焼け




「みんなごめん。桜華、ちょっと来て」



そう言ってあたしの手を引く颯くん。



みんなはニヤニヤしながら“ラブラブ~”なんて言ってる。


そして連れてこられたのは、校舎裏。




「桜華、どうした?」



心配そうにあたしの顔を覗き込む颯くん。


あたしの様子がおかしいの、気付いてたんだ。


心配かけたくなくて、何でもない、と首を振る。




「……」



でも、やっぱり気になってボーッとしてしまう。

と。




チュッというリップ音とともに、触れた唇。



「っ!?」




カアッと熱くなった顔。

唇を手で抑える。




「目ぇさめた?」



イタズラっぽく笑う颯くん。



そんな颯くんにつられて、あたしも笑ってしまう。