キミの前に夕焼け




「つーかさぁ……あんまり他の男に隙見せんなよ?」



抱きしめたあたしの髪をくるくると指に巻き付けながら言われる。




「隙?」



「あの3人の時もだけど………やっぱいいや、何でもない」



「え、何?」



颯くんを見上げると、少し拗ねたような表情。



「や、何でもない。余裕なさすぎだから言わない……」



隠されると気になるのが人間ってものだと思う。



「言ってよ~」




しつこく聞くと、颯くんに頭を抑えられる。


目の前には颯くんの胸。



「水樹と一緒に帰ったっていうのも、ちょっとムカついたり……しました」




抱きしめるのは、顔を見られたくないから?



颯くんの背中に腕を回して抱きしめ返した。