キミの前に夕焼け





「これから、バスケ部は公園で自主練するんだ」



水樹くんの声に、ハッと我に返る。




「体育祭の練習ばっかりしてたら、バスケができないからね」




違う話をしてくれる水樹くん。




「そう……なんだ」




泣いているあたしに気付かないふりをしてくれる水樹くん。



しばらくして家について、



「ありがとう」



って別れようとした。





「颯はさ、心配してんだよ」


「……え?」



「さっきの颯の言い方は悪かったけどさ、迷惑とか思ってる訳じゃないから。

むしろ桜華ちゃんに会えて内心大喜びだから」




「…ありがとう、色々」




背を向けて歩き出した水樹くんを見ながら、


ありがとう…


って呟いた。