キミの前に夕焼け




走り出したけど、ドラマみたいに速く颯くんを振り切ることはできなくて。


すぐに腕をつかまれてしまった。




「やっ……離して!」




「送る!」



「いらない!」



「送らせて」



「ヤダってば……っ」





泣きながら言うあたしに、きっと颯くんは幻滅してる。


めちゃくちゃだよ、こんなあたし…。




「じゃあ俺が送るよ」




そう言ってあたしの手を引いたのは、水樹くん。



「え……」



「1人で帰るには時間が遅すぎるから」




そう言って水樹くんが見せた携帯のディスプレイ。


19時30分 という文字が光っている。




「颯達は、先に公園行ってて」





颯くんは少し考えてから、あたしの方を見て寂しそうな顔をした。


そして




「あぁ、頼む」




って言った。