涼しげな顔をしている門川君に、絹糸が声を掛ける。


「ほおぉ、仕方なく、のおぉ~」

「・・・・・なんだ? 絹糸」


「いや、仕方なく、わざわざ炊きたての飯を炊いてやったのかのぉ?」

「・・・・・」


「梅干も海苔も、一番の上物を選んでのぉ」

「うるさい」


「あげく、飯係の女が握り飯を作ろうとしたら・・・」

「うるさいぞっ」


「『僕が握ってあげるから、いいんだ』となぁ」

「うるさいと言っている!」


珍しく大きめの声を上げる門川君。

その耳が、ほんのり赤く染まってる。


・・・・・。


やっぱりわざわざ作ってくれたんだ。

あたしのために。



・・・えへへ~~。


なんか、あたしまで赤くなっちゃうじゃん。

やだ、もう。照れちゃうよっ。


えへへ! んまいっ!!

ばくばくっ!!