「どーせあたしなんか・・・って、しま子まで、ちゃんとすくえてるしぃ~っ!」


あたしの声に、慌ててしま子が両手を後ろに隠して知らないフリを決め込む。

くすん、いーよ、しま子。

そんな首を必死にぷるぷる振って、気をつかってくれなくても。

あたし別に気にしてないもん。



「別に水なんか飲みたくないしっ」

「嘘をつくなよ」

「嘘じゃないもんっ」

「水分水分と、しつこく叫んでいたくせに」

「しつこくなんか・・・!」

「ほら」


門川君が水を両手にすくって、あたしの口元に運んだ。


「さあ、飲むといい」


・・・・・。



え゛?




あ、あの?

えーっと、これを飲めって?


つまり・・・


門川君の手に、あたしの唇を付けて飲めと?


・・・・・・・・・。



絹糸の意味深な視線が気になる。

あたしの顔が赤らんだのは、そのせいだ。


断じて、彼を意識して照れた、とか・・・


そーゆーんじゃ、ないっ!!