* * *
柚希が去った後。松川は変わらず、机に顔を伏せたままだ。
「…松川、よく止めなかったね」
「…言える訳無いだろ。せっかく勇気出して頑張ろうとしてるアイツに、お前が好きだから告白すんな、なんて…」
ぽつりぽつりと話す松川に、美喜はフッと微笑んだ。
こいつは本当に、不器用だよね……。
「ほら、元気出しな。私はアンタ、いい男だと思うよ。普通は好きな子が他の男に告白すんのなんか耐えられないもん」
「……」
「…柚希にとって、アンタは支えだと思う。
もちろん恋愛感情じゃないけど、友達として、柚希には無くてはならない存在だよ」
美喜の言葉に、松川は静かに顔を上げる。
…少し、本の少しの笑顔を浮かべて。
「…サンキュー熊谷」
「フフッ。アンタはいい男。私が保証してあげる」
「それは心強いな」
松川はクシャッと笑った。

