とその時、肩をポンと叩かれた。
「柚希ちゃん♪」
「…えっ伊吹先輩!?」
「部活終わったよ!」
伊吹先輩の言葉に弓道場の入り口を見れば、疲れた様子の部員が続々と出て来る。
あ、本当だ。気付かなかった。
「わざわざありがとうございます」
「いえいえ」
「スミレ先輩、鞄忘れてますよ」
突然降って来た声。
顔を見なくても分かる。この声は山田くんだ。
伊吹先輩は小走りで、鞄を片手に持ちこちらに歩いて来る山田くんへ駆け寄った。
「部室に置きっぱでしたよ」
「わぁ~ごめんっ。ありがとうね聖!」
「いえ。しっかりして下さいよ」
「エヘッ」
呆れ顔で鞄を渡す山田くんに、伊吹先輩は肩をすぼめてペロッと舌を出した。
端から見れば、カップル以外の何者でもない。
小さく、胸が痛む。

