今だって、前の授業挨拶しないで抜け出して、移動教室から帰って来る山田くんを待ってたんだよ。



そうでもしないと会えないじゃん。


あたしが頑張んなきゃ、会えないじゃん。



迷惑掛けてるのは分かってる。でも、あと少し。本の少しだけでも……。




「…離してよ」


「……」



ふるふると顔を横に振る。すると、お馴染みの溜め息と共に。



「…どーせ、また来るんでしょ」


「………え…?」



穏やかな口調と、その言葉に驚いて顔を上げる。

それって………。



「…また、来ていいの?」


「ダメって言ったって来るくせに」



意地悪な笑みを浮かべる山田くん。

その笑顔にキュンキュンしつつも、嬉しくてみるみるうちに笑顔になる。



「うんっ!来る!!死んでも来ますっ!」


「幽霊は見えない」



またいつものクールに戻ってるけど。


嬉しい。チョー嬉しいっ!!


やっぱりあたし、



「山田くんが好きだ――――っ!!!!」


「俺は大嫌い」



グハッ!

今さりげなくかなり残酷な事言われた気が…。


ええいっ!めげないぞ!めげないからなぁっ!!



大嫌いでも、いつか大好きにしてやる!!