でも……今言ったのは、全て本心なんだ。


口にしたら、なぜかそれだけで、心の奥の奥につっかえていた何かが、溶けて消えた感覚がした。


少なくとも、俺はもう、立本を好きじゃない。

六花ちゃんを、ただの友達だなんて思えない。



……欲しいのは、この手の確かな温もりだけなんだ。




「…松川くん、わたし期待する…っ」


「…していいよ」


「だって…わたし、フラれたのに」


「…俺だってわかんないよ。けど…今だって、六花ちゃんが泣いてて尋常じゃないくらい動揺してる。何とかして止めてあげたいって思ってる」


「……っ」


「…それじゃダメ?」


「……ダメ、じゃない…っ」



六花ちゃんの瞳からポロポロと大粒の涙が零れ、ピンク色の頬を伝ってゆく。


そんな六花ちゃんの手を引き寄せ、そっと抱き締めた。



……答えは、こんな近くにあったんだ。


今この腕の中にいる君が、全ての答え。




遠回りして、やっと辿り着いた俺の答え。


これからは、俺が君を支えるから。

これからは、俺が君を守るから。


………傍に、いてください。



繋いだ手は温かく、ずっと隣にあった。





        ーside松川*endー