次の日、放課後。

ついに来た。この時。



「…柚希、自分の世界入ってるとこ悪いんだけど私今日バイトで付き合えないから」


「えぇっ!?そんな、美喜さま!」


「ごめんね。気になるけど、ムリです」



ガーンッ。

腕を掴んで揺さぶってみたが、母親のような微笑みで上手くかわされてしまった。


うぅ…美喜さま~…。



「柚希ちゃん、泣きそうな顔してどうしたの?」


「六花ちゃん!」



振り向けばそこには六花ちゃんが!そうじゃん!六花ちゃんがいるじゃん!



「六花ちゃん、一緒に弓道場に…」


「あ…ごめん。わたし松川くんにフラれたから気まずくて行けないや」


「……え?」



…フラれた…?

悲しそうに微笑む六花ちゃんに、あたしまで泣きそうになった。



「…いつの間にそんなことに…」


「…昨日、告白したんだけど。見事に玉砕しちゃって。迷惑掛けたくないし…見に行きたいけど、遠慮するね」



ごめんね。

そう言って、最後に『頑張って!』とあたしの背中を押して、颯爽と教室を出て行ってしまった。


六花ちゃん……。


知らなかった。六花ちゃんが、松川くんに告白してたなんて。



『柚希ちゃんは、わたしの憧れだから』



いつかの、六花ちゃんの言葉を思い出した。


…大丈夫。六花ちゃんは大丈夫。

きっとまた、松川くんにぶつかってくれる。


だって、あたしに憧れてるんでしょう?

なら、大丈夫だよね。追いかけなくても、六花ちゃんなら立ち上がれるよね。



……あたしは、とにかく弓道場に行かなきゃ。



でも気になるからやっぱ夜六花ちゃんに電話しよ!!