―――そしてやって来ましたデート当日!!
朝から準備万端。
まだ約束の時間30分前なのに、あたしは待ちきれなくて家を飛び出した。
この日のために買ったシフォンの白ワンピースに身を包み、上手く巻けた髪にはつい笑みが零れる。
エヘヘヘッ♪デートだ~っ!
足取りは空気のように軽く、気を抜くとスキップしそうだ。
家にいた時から止まらないこのニヤけ。緩みまくった頬はもう元に戻りません。
待ち合わせ場所に着くと、当たり前だけどまだ山田くんの姿は無くて。
時計の針は9時42分を指している。
「…あと、20分かぁ」
周りを見渡すと駅前だからか、けっこう沢山の人達で溢れ返っている。
忙しなく動く人の波。チカチカ点滅する信号機。車のクラクションも気にならない。
いつも通りの風景なはずなのに、キラキラ輝いて見えるから不思議だ。
あたしは近くにあったベンチに腰を下ろし、その光景をぼんやりと見つめていた。
「早く来ないかなぁ~♪」
遠くの方に黒い雲が見えた。
雨降らないといいな…。
小さく心の中で呟き、空を見上げた。