「山田くーーーんっ!!」



ドーンッ!!

まさに効果音通り、勢いよく山田くんの背中に抱き付いたあたし。


驚いた様子の香里奈ちゃんを睨み、さらにギュッと力を込めた。



「…あのさ、痛いんだけど?」



上から降って来た声に顔を上げると、眉間にシワを寄せてあたしを見下ろす山田くんが。


…わぁ…the・不機嫌。



「…な、何だか人肌が恋しくて?」


「…うん、取り合えず離れようか」



はい旦那。

ササッと離れ落ち込むあたしに、香里奈ちゃんがクスッと笑ったのが見えた。


が、ガーン!思いっきり馬鹿にされた!!



「あ、それでですね山田先輩、今週の日曜日は練習休みなので伝えといてください」


「ん、わかった」



香里奈ちゃんはニコニコ楽しそうで、雑談しながらふざけたように山田くんの肩を小突いたりしてる。


それに山田くんは笑顔で答え、端から見れば仲の良いお似合いのカップルだろう。


何話してるんだろうって耳を傾けてみるけど、専門用語ばっかりで訳分からん。


……なんか、あたし場違いじゃない?




「…ねぇ」


「……」


「…おーい?」


「……はぁ」


「…バカ」


「…ちょ、バカは酷くない!?」



ガバッと顔を上げ山田くんを見たあたしに、山田くんはぶはっと吹き出した。



「バカで反応しちゃダメでしょ」


「うっ…」



くっそう。バカにされてんのに憎めないこの笑顔……。



「…話聞いてた?」


「へ?」


「日曜日、部活休みなんだけど」


「あっ、うん!よかったね!久々にゆっくり出来るね!」


「…うん、そうなんだけどさ…」


「……?」