楽しかった夏休みもあっという間に過ぎ去り、新学期が始まって3週間が経とうとしていた。




「さびひぃ~…」


「うわぁ~後ろの席が亡霊と化している」


「山田くぅ~ん…」



机の上に頭をつけて絶賛沈み中のあたしに、前の席の美喜ちゃんが椅子ごと振り向き毒を吐いた。

ダメージ80ッス。



「山田くんまた無理だって?」


「そう~…」



よしよし、と頭を撫でてくれる美喜ちゃんに、弱々しい声で答えた。


朝、山田くんから届いたメール。


【ごめん 今日も練習あるからムリ】



お弁当一緒に食べれるかな~?って、淡い期待を抱いて送ったメールの返信がこれ。


朝からHPが1000減りましたね。



「これで20日連続か」


「…山田くん、部長だから。仕方ないよ…」



そう。夏に引退した先輩たちのあとを継いで、山田くんが弓道部の部長になったんだ。


松川くんも副部長になっただかで、朝、昼休み、放課後はいつも練習をしに弓道場へ通っている。


毎日、お弁当を一緒に食べれるか、放課後一緒に帰れるか、メールで聞いてみるんだけど、返信は必ずNO。


忙しいのはわかってるし、大変なのもわかってる。


ただ、やっぱり寂しいんだ。