* * *
【スミレ&要】
「遊びましたねー」
「そうね。疲れたー!」
「俺がマッサージしてあげましょうか?(笑)」
「あ、遠慮しとくわ」
相変わらず聖といい勝負な毒舌だ…。
スミレに合わせた歩幅で、要はゆっくりと歩きながら苦笑した。
「…あ、そういえば要くんナンパされてたね」
「え?あぁ、そんなこともありましたね」
唐突な質問に、要は海にいた時、女の子のグループが声をかけて来たのを思い出していた。
いわゆる逆ナンというやつだ。
「…何であの時、断ったの?」
「へ?なんすか、それ」
「……別に、ちょっと気になっただけよ」
ちょっと、と言いながらも、少し不貞腐れたような表情のスミレに要は笑みを零した。
「そんなの、伊吹先輩といたからに決まってるじゃないですか」
「……っ」
ニカッと無垢な笑顔を見せると、スミレは戸惑って言葉を詰まらせた。
もちろん、要はそんなスミレにクスクス笑う。
そしてもちろん、それを見てスミレがむくれるのもお決まりだ。
「…な、何笑ってんのよ」
「いや、こっちの話です」
楽しそうな要に、ほんのり顔を赤くして俯くスミレ。
そして、無意識のうちに歩くスピードを上げていたことに気が付いたスミレは、ハッとして隣を見るとちゃんと横にいてくれた要に小さく呟いた。
「…いてくれて、ありがとう」
「…え?何か言いました?」
「……ううん。こっちの話よ」
道に映し出された二人の影は、さっきよりも少し近くなった距離で並んでいた。

