「…俺の彼女に、なってくれますか?」


「…はい…!」





聖を追いかけて、ここまで来たけれど。




「……時、既に遅しか…」



向こう側から聞こえた会話に、ドアから手を離し、保健室の壁に寄りかかった。



あーあ…聖と柚希ちゃん、とうとうくっついちゃったか…。


ボーッと天井を見上げる。蛍光灯の光が眩しくて、目を細めた。




……何となく、分かっていた。


聖は柚希ちゃんが好きって。


だから不安で、ムカついて、邪魔するために柚希ちゃんに諦めて。なんて意地悪なことを言った。



でもどんなに汚い手を使っても、聖は手に入らないって分かったよ。


柚希ちゃんみたいに、最初から真っ直ぐにぶつかっていれば良かったんだね……。



……なんて…今さら後の祭か……。