その音は、体育館中の熱気を一瞬で冷ますほどの鋭い音だった。
シンと静まり返った空間に、トントントン…というボールのバウンド音がこだまする。
あたしは、何が起こったのか分かんなくて。
あたし目掛けて飛んで来たボール。反射的に目を固く瞑ったけれど、予想していた痛みが無いんだ。
恐る恐る…ゆっくりと目を開ける。
徐々に鮮明になってゆく、目の前の光景。
ぴったりピントがあった瞬間、あたしはただ驚くことしか出来なかった。
「…や…まだ……くん?」
「…ドジ」
そこにあったのは、あたしの前に立つ山田くんの姿。
それが、山田くんがあたしをかばったんだと理解するのに、そう時間は掛からなかった。

