* * *
「すみません、伊吹先輩居ますか」
3年の教室。松川はドアから、中を覗いた。
少しして一人の女が、友達に断りこちらに歩いて来た。
「おはよう松川くん。どうしたの?私に何か用?」
「はい。スッゲー大事な話です。なんでこっち来て下さい」
ニッコリ微笑むスミレを、松川は促して屋上へ連れて行った。
屋上は意外にも、爽やかな夏の風が吹いている。
松川はスミレと向き合い、躊躇うことなく口を開いた。
「立本が、山田を諦めたって言ってました」
「うそっ!?あんなにベタぼれだったのに!?」
「白々しいですよ。伊吹先輩が仕向けたんでしょう」
松川は睨むようにスミレを見る。
すると、一瞬静止したスミレは、途端口角を上げた。