「はぁーっ。…ったく。ほら」 えっ……。 乱暴に手渡された国語の辞書。山田くんはあたしが受け取ったのを確認すると、さっさと席へ戻ってしまった。 残されたあたしは…………顔、ニヤけまくりですっ!! 何あれもう~っ。山田くんやっぱり優しい! ぎゅーっと辞書を抱き締める。 「あはは。聖ご機嫌ナナメだなぁ」 「え?」 「アイツ今寝ててさ。聖、起こされんの大嫌いなんだ」 そうだったんだ!あたしタイミング悪っ。 だからいつもより眉間のシワが深かったのか……。