ペンダントの十字架を胸にかざしながら、神聖呪文を唱え始める。
 十字架は日の光りのように強く、また月の光りのように柔らかな輝きを放ち始めた。

「リフレクション・オーブ!」

 力ある言葉を叫ぶと、ペンダントはマリアを中心に街とネクロマンサーを包み込む。

 辺りに淀んだまがまがしい空気は浄化され、ネクロマンサーもまた、在るべき場所へと還っていった。

 ペンダントは音を立てながら砕け散り、マリアに降り注がれる。

「ちっ。また買い足さないといけないな…」

 舌打ちをしながら街灯から飛び降り、領主の屋敷へと足を進めた。

 しばらく行くと、今度は双頭の犬と、巨大な黒犬のパレードの出迎えだ。
 喉をグルグル鳴らし、威嚇してくる。

「ったく。犬はあのバカ犬だけで、十分なんだよっ!!」

 ムチをひと鳴きさせ、犬を数匹薙ぎ払うように打ち付けて灰へと還す。

 その灰を蹴破って、何頭もの犬が猛スピードでやってくる。