向かい合うように座り、アテナは震える声で訴えた。

「あの、今朝言っていた、サバトのことなんですが…」

 灰をトンっと落とし、マリアはいつもと変わらない冷たい口調で言葉を放つ。

「…言いな」

 ピクリと肩を動かし、今まで起こってきた総てを話し出した。


 一ヶ月ほど前。
 領主が使用人として一人の執事を雇いだしたのが、総ての元凶らしい。

 それからというもの、街中の若い綺麗な男達が屋敷へと呼ばれ、今だ帰ってきたものは一人もいない。

 それはアテナの婚約者も同じ事だった。

 領主に問い詰めても、知らぬ存ぜぬの一点張り。
 話を聞こうともしなかった。

 一人の新聞記者が、意を決して屋敷へと入り込み、中を探ると、男だけのサバトが行われていた。

 記者はこのことを無我夢中で書き記し、家に着いた途端、惨殺されている。
 見るも背筋を凍らすほどの姿になって…。

 その意志を継いでか、はたまた横取りしたのかは定かではないが、次の日、友人が刷った新聞によってすべてが明らかになったのだ。