何かが体の中をはい回るような、とてつもなく奇妙な違和感が…。

「おい、お前達。何か違和感はないのか?」

 マリアの言葉に、三人は顔を見合わせて首を縦に落とす。
 何事もなかったかのように、また話に花を咲かせていた。

 マリアは残った紅茶に自分の険しくなった顔を映し、飲もうとしたが口の手前で止め、変わりにタバコをくわえた。

「お口に合いませんでしたか?」

「!?」

 いつの間にいたのか?

 いや、いつ部屋に入って来たのだろうか?

 マリアはくわえていたタバコを口から落とした。

 ナエルはそれを拾い、ハンカチで包んで自分のポケットに入れた。

「紅茶がお気に召さないのでしたら、ワインなどご用意致しますが?」

「いや。結構だ。それより、領主はまだか?」

 辛抱たまらなくなったのか、口調に苛立ちが混じる。

「ご子息を連れて来られるようですので、もうそろそろかと…」

 何かに気付いたのか、ナエルは足音をたてずにドアへと向かい、静かに開け放つ。