領主はワハハと笑いながら入り口まで案内すると、そこには今まで見たことないような超絶美形のバトラーが、胸に手を当てて一礼していた。

「客人を丁重におもてなししてくれ。くれぐれも失礼のないように」

 強く言うと、バトラーは領主に体を向けて礼をする。

「かしこまりました」

「マリア様申し訳ありません。一つ仕事を片付けてから、また改めてお詫びいたしますので、客室のほうでごゆるりとお過ごしくださいませ」

 気持ち悪い笑顔を残してそそくさと中に入り、残されたバトラーは柔らかな笑顔で四人に話し掛けた。

「お目にかかり光栄ですマリア様。皆様も、ご遠方の屋敷までようこそいらっしゃいました。どうぞ中へ」

 整えられた美しい顔立ち、銀の瞳、翡翠色に近い髪を片方だけ耳に掛け、今いた領主がキメラに見えるほどバトラーは美しかった。

 ファブニルは頬を赤く染め、目はハートになって感嘆のため息を出していた。

「ねぇバトラーさん。あなたの名前教えてくださる?」

「ナエルと申します」

 声も、声変わりする前のような清んだ声色。笑顔は文句なしに絶叫するか見惚れて倒れるかの、どちらかの選択になるほど美しい。