「あんだけでかい口叩いておきながらこのザマ。つまらん…ん?」

 どこからともなく、大勢の叫び声や奇声がハトホル修道院に近づいている。
 門の外を見てみると、左右から大量の魔族達の群れが押し寄せて来ていた。

「なんかパーティーあったっけ?」

「する予定はないが?」

 淡々と会話する二人。

 身長差のある二人だが、背中を合わせ、左右から迫り来る魔族達を迎え撃つ。

「ヴァン・ウィング!」

「ドラゴン・ショット!!」

 右から来る魔族達は数百の扇子の刃に切り裂かれ、左から来る魔族達は稲妻のつぶてによって灰へと還る。

「はっ! モテモテとは、うらやましいかぎりだぜ」

 少し着衣の乱れたバーテンダーの男が屋根の上に一人。

「フェンリル!」

 ルーシュが叫ぶ。

「ホント。アタシにも分けてほしいくらいだワ?」

 くせっ毛の白衣を着た医師が、返ってきた扇子を受け取りながら言う。

「ファブニル!」

 名を呼ばれた二人はマリアの所へと着地。