「皆さん! オーナーがお礼も兼ねて是非にと言ってくれました。二人部屋になるんですけど、大丈夫ですか?」

 四人は一瞬嫌な顔をしたが、仕方なく頷いた。
 部屋割はいつも通り。
 マリアとファブニル、ルーシュとフェンリルとの隣り合わせの部屋だ。

「いい部屋ね。くつろがせてもらうわ」

 アテナに部屋を案内され、微笑みながら礼を言った。

「夕食は一階のカフェを利用してください。何かありましたら遠慮なく言ってくださいね」

 同じような顔で笑顔を返され、少しとまどうファブニル。
 ドアを閉め、軽くため息をだした。
 マリアは窓を開け、まだ祭を賑わう民衆を見下ろした。

「はい、コーヒー」

 テーブルに置かれたコーヒーを手に取り、一口飲む。
 カップの隙間から、チラリとファブニルの顔を見る。

 笑顔の絶えない表情は消え、不安と戸惑い、そして何より、後悔の表情が見える。

 マリアはため息混じりでカップを置き、イスに座る。

「お前の姉は死んだんだ。生まれ変わりなどという、曖昧なものにすがろうとするな」

 マリアの冷たい言葉に顔を歪めた。

「…えぇ。懺悔を…聞いてもらえるかしら?」

 マリアは舌打ちをし、ファブニルの方に体を向けた。

 震えた息を吐き、七年前の事を語りだした。