ぐぐぐう~ きうるるる~
「な~。腹減った~」
シリアスな雰囲気を叩き割ったのは、ルーシュの腹の虫。
先程自分の腕で持ち切れないほどの量を食べたというのに、今のケンカで全て消耗したらしい。
「ったく、てめぇの腹はどーなってんだ! さっき食い荒らしただろうがっ!」
フェンリルが呆れながら言うと、アテナがクスクスと笑い出した。
「笑った顔もかわいいね。俺のベッドで、もっと笑顔にしてあごふぉっ!」
またマリアがヒールで頭を踏み付ける。
「いい加減にしやがれ」
グリグリと踵で踏み付けながら言うと、一同唖然。
「あ、あの! 宿でしたらこのカフェの三階にあります。ここのオーナーが経営してますから、話ししてきますね」
我に返ったアテナは、カフェの奥へと姿を消した。
「ファブニル」
マリアが呼ぶと体を一瞬びくつかせて答えた。
「えっ、何?」
「大丈夫か?」
その言葉を聞き、ファブニルは豆鉄砲を食らったハトのような顔をする。
「何だ? その豆鉄砲食らったような顔は」
「い、いえ…あなたが心配するだなんて、どういった風の吹きまわしかと…」
マリアは一瞬間を置いた。
「ケンカ売ってんのか?」
冷や汗をかきながら、思い切り首を横に振った。
(あなたにケンカ売ったらムチだけじゃすまないじゃないのっ)