Wild Rock


 なんとかシスター達を振りきってマリアの部屋まで来たが、ドアが開かない。

「ドア開かね~っ!」

「どきなさい!」

 ファブニルがルーシュを押し退け、中を探るかのようにドアに手を当てる。

「空間に歪みができてる。ぶち破るしかなさそうね!」

 ドアから一歩下がり、手で印を結びながら呪文を唱える。

「時を紡ぎし異界の者よ
 我が命に応えて今こそ示せ!
 い出よ! 我が盟友!」

 白い光りとともに煙を出して弾ける。

 クルルルッ。

 洗われたのは白いハト。二人は呆気にとられたあと、文句を言い出した。

「少しは勉強しなさい! ハトは時の眷属なの! 歪んだ時を正常に戻してくれるんだから! お行き!」

 ハトは言われるがままドアに向かって羽ばたいていき、ドアに吸い込まれるように消え失せた。