Wild Rock


 マリアの言葉に、アマンダの顔に影がかかる。

「どうした?」

 顔を覗き込むと、雫がこぼれ落ちる。

「…話せよ…」

 裾で涙を拭い、重い口を開いた。

「シスター=ベルテは、マリア様が殺された次の日、同じ魔族達によって殺されてしまったの。私を結界で護り、私の目の前で…皆…みんな……。
魔族達は、マリアと第五のエレメントを渡せ、と叫びながら血を浴びていました…」

 マリアはベッドから下りると窓にもたれ掛かり、雲に見え隠れしている月を眺めながら、新しい箱からタバコを取り出し火を点けた。

 雲が晴れ、月明かりがマリアの美しい金糸の髪と瞳を照らし出す。

 さながら、その姿は月の女神のようだった。

(綺麗なルーチェ。昔誰かが言ってた。ルーチェは邪眼の堕天使のようだと……)