ルーシュはそれが子守唄となって、すやすや眠りについてしまった。

「あらあら? 自分でリクエストしときながら寝ちゃうなんて…」

「しっかし、あれだけヘビモなくせして、な~んであんな頭ぶち破るくらいの澄んだ声出せるんだか?」

 パイポをくわえながらフェンリルが言うと、ファブニルは寝てしまったルーシュの髪を撫でながら言葉を返した。

「マリアなりに発声練習してたりなんかしちゃったりして?」

「ぜって~ないな」

「やっぱし?」





 天界ではその歌が捧げられ、巨大な木が中心にある湖のほとりで聞いていたミカエルは、その甘美な歌声に聞き惚れていた。

「こんなところで音楽鑑賞とは、いいご身分だな?」

 赤い髪に猫のようにつり上がった漆黒の瞳。腰にはスキアヴォーナを携えていた。

「やあウリエル。素晴らしい歌声だと思わないかい?」