静かなチャペルにパイプオルガンの音が響き渡る。

 入口からは数人のシスター達が現れ、設置されている長椅子に腰を下ろした。

 ルーシュ達はすでに特等席である一番前に座っていた。

 マリアを待っている村の民衆達。
 そんなとき、マリアは脇にあるドアから現れた。


 格好はそのままだが、頭に白いレースのベールを被っている。
 それはさながら、後ろに佇んでいるマリア像がそのまま動いているかのように感じられる。

 オルガンの音が止まると同時に、マリアは中央へ。

 マリアは手を挙げ、祈りの言葉を告げた。


「すべての信仰厚き者達よ、我が名のもとに降り立ちし聖なる天使達に、聖なる神の歌を捧げる。
 集え、セラフィム…」

 天使の名を呼ぶと、マリアの頭上から小さな織天使の羽が舞い降りる。

 神々しい姿に、民衆もシスターも感嘆の声をもらした。

 歌うは、ジョイフル・ジョイフル。

 しかし、聖歌隊が歌うような力強い歌ではなく、マリアオリジナルの歌が響き渡る。

 透明で甘美なその声は、老若男女問わず聞き惚れ、その姿は女神そのもの。