マリアはタバコの灰を落しながら巨石にもたれ、ミカエルを見上げた。

「一つひっかかる事がある。なぜメイデン達魔族は、あたしたちばかりを狙ったんだ?」

 マリアの言葉に残りの三人も頷いた。

 いくらルーシュ達が回りにいるからといっても、他のマリア達も狙われているはず。

 南のマリアは他の何者かによって、手に掛けられたと考えているマリア。

 でなければメイデンの招待状を受けて、こちらに来ているはずなのだから。

「それともう一つあるわ。マリアの特殊能力の『聞こえる耳』は、ごく一部しか知らないはず。なのにメイデンは、魔族サイドは知っていた。これは一体どういうことなの?」

 ミカエル達は一瞬顔を歪めた。

 その表情を、ルーシュ以外の三人は見逃しはしなかった。

「なあ~んか、裏がありそうじゃね?」

 呆れたように紫煙を吐きながらフェンリルが言うと、同じくタバコをくわえたウリエルが前に出て来た。