精一杯の力で挟まれている腕を押し開いていく。
すましたメイデンの表情に、動揺の色が見える。
有り得るはずがない状況のはずなのに、痛みに耐えながら棘の腕が開いていく。
いくら魔族達を統べていても、ここまで敵対する神側についているなら裏切り者も当然。
処刑するには十分な理由。
だが、いったい何処からそんな力が出てくるのか不思議なくらい押し開かされる。
体がある程度自由になると、ルーシュはメイデンの腹を蹴り飛ばして腕から逃れた。
少し距離を置いてガクリと膝を付き、咳とともに口から血を吐いた。
今まで獲物は逃したことはなかった。
なのに今、魔力が抜け落ちているルーシュに未知なる力で逃げられ、動揺は隠せなかった。
「そんな…まさか…」
ゴト…ン…

