しばらくの沈黙を破ったのは、マリアの銃声。

 避けられるのは予測していた。


 ガギャッ!


 針の剣を、マリアがオキニス・ブレードで受け止めた。

「ふぅん。カンはいいんだ」

「カン? バカにすんじゃないよ。ニオイがプンプン鼻につくんだよ!」

「あら? お風呂には入ったんだけど?」

 ギリギリと耳障りな剣の擦り合う音をさせながら、睨み合う二人。

「魔族臭いんですってよ! ハッ!」

 間を割って入るように飛び蹴りしてきたファブニルを避け、宙で身を縮めながら回ると、今度はルーシュとフェンリルの蹴りとパンチが炸裂。

 軽々と避け、急に目の前にルーシュの蹴りが見えると、腕をクロスしてそれを受ける。

 小さな体の割には力が強かったらしく、メイデンは受けた体制のまま地面を滑って行った。

 三人はマリアを囲うようにその場に戻る。

「パイモンが言っていた通り、あなた方には『絆』があるようね…」

 クロスしている隙間から四人を見据える。

 千年前の、残像とともに。

「千年も経って尚その女を守るのはなぜか…? 理解に苦しむわ」