メイデンは呆れたため息をつきながら、掌から何本もの針を出した。

「とりあえず、死んでちょーだい!」

 二人はバック転をしながら、投げられた針を避け、ファブニルは鉄扇を、フェンリルはナックルを鳴らす。

「人形風情が、身の程を知りなさい!
バルバス・ファング!」

「ゲヘナ・ハウト!」

 二人の同時攻撃が、メイデンに一斉に遅い掛かる。

 無の表情から口の端だけに笑みを浮かべ、目の前に見えない壁を作り出した。

 二人の攻撃は、一瞬にして消えうせた。

『バカな!?』

 弾かれたのでもなく、飲み込まれたのでもなく、ただその攻撃の存在自体が、まるで始めから無かったように消え失せた。

 二人は唖然とし、マリアは目を潜めた。

「我が名は、マリア=アイアン=メイデン。神なる力を無力と化し、総ての処刑を司りし古えのドール。
新たに魔なる力を無力に変える力を、我が女王より授かった…」

 ヒールを鳴らしながら、立ち尽くしている四人の中へ向かう。

「あたしに敵う者なし」