そう警戒心を持たせながら、二人を蹴飛ばしているマリアの後ろを着いて行った。



 半日ほど歩くと、廃墟から打って変わって大草原が広がっている。

 死んだ都市には似つかわしくないものだ。

 そこを歩いていると、草の隙間から白兎がヒョコッと顔を見せた。

「わ~い! 肉肉~っ!」

『食うことしか頭にないのか!』

 兎は捕まえられないように逃げたが、空腹のルーシュの前には惨敗。

「つっかま~え、うぎゃ~っ!?」

 ルーシュの悲鳴を聞き、三人はそこへ駆け寄る。

「どうしたんだ?」

 ルーシュが涙目になりながら兎を指差していた。

「コイツ、何かへんだよおぉ~」

 仰向けでバタバタしている兎に目をやると、腹には犬の顔があった。

『き、合成魔獣!
  (キメラ)』

 三人が気味悪げな声で叫ぶと、ウサギイヌは二本足で立ち上がった。

【ようこそ。我が姫君の庭(ガーデン)へ】

 深々と一礼しながら、その可愛らしさとは裏腹な、老人のような低いしわがれ声で喋った。